Fusion360 CAEでのプリント基板のビアのメッシュ作成エラー(自己交差)の対応

last updated : 2023-02-06

Fusion 360 CAE熱解析のメッシュ作成エラー(自己交差)

下の図はFusion 360 でCAE熱解析のメッシュ作成時「 メッシュ作成でエラーが発生しました。フェーズ ソリッドメッシュを作成しています。説明:自己交差しています。 」と表示されてエラーになってしまったところです。

Fusion360 メッシュ作成エラー
メッシュ作成エラー

Fusion360のCAEでプリント基板の放熱パターンの熱解析をおこなう場合などで、メッシュ生成の際にメッシュサイズによってはパターンの膜厚が薄いため形状が生成できない状態が発生します。例えば図のような場合です。プリント基板の0.3mm径のビアのモデルですが、一般的にビアの膜厚は10~15μmです。この状態ではメッシュの分割数によっては厚みの内側の円と外側の円が交差してしまう状態が発生します。メッシュ作成の時に「メッシュ作成でエラーが発生しました。フェーズ ソリッドメッシュを作成しています。説明:自己交差しています。」と表示されます。

メッシュ分割数8
0.3mm径ビアのメッシュ作成(8分割)

図の外側の円は0.3mm径で、内側の円は0.27mm径です。厚みが15μmの設定です。赤い線が外側の円に内接したメッシュ8分割の線です。8分割だと内側の円に接する箇所がなくメッシュの生成が可能です。

メッシュ分割数7
0.3mm径ビアのメッシュ作成(7分割)

この図は上と同じ外側の円は0.3mm径で、内側の円は0.27mm径です。赤い線が外側の円に内接したメッシュ7分割の線です。7分割より小さい分割数だと分割した線が内側の円に接してしまいメッシュの生成ができなくなってしまいます。この場合「自己交差しています。」のエラーが表示されます。

メッシュ作成時の「自己交差しています。」エラーの修正

対応としては、内側の円と交差しない程度に分割数を大きくすれば良いので、メッシュ作成の設定でメッシュサイズが小さくなるように調整する方法があります。「メッシュ設定」の「平均要素サイズ」の 「%」 設定を小さくする方法です。ただし、これだと小さくしたい箇所だけでなくモデル全体のメッシュサイズが小さくなるので解析時間が延びてしまったりします。なので、自分がメッシュサイズを小さくしたい箇所だけ設定を変える方法が「ローカルメッシュコントロール」です。以下にローカルメッシュコントロールの設定方法を説明します。

「ローカル メッシュ コントロール」の設定方法

1.6mm厚のプリント基板の表面と裏面に35 μm厚のパターンを配置して、0.3mm径のビアを貫通させたテストモデルを作成しました。ビアの厚みは15 μmとしています。これをメッシュサイズ設定の平均要素サイズが10%の設定でメッシュを作成すると「自己交差しています」のエラーが8か所中2か所出ています。なぜ2か所なのか?は、すみませんわかりません。複数のボディーでエラーが発生する時も各ボディーで2~4か所ずつ発生するようです。(根拠は不明の経験値です。)エラーの発生した箇所だけ設定を変更しても他の同じ条件の箇所でエラーが発生します。

Fusion360_test_model
メッシュエラーモデル

ツールバーの「管理▼」の文字をタップして表示されたメニューの「ローカルメッシュコントロール」を選択します。

ローカルメッシュコントロール
ローカルメッシュコントロールの選択

今回はビアの外側の面にメッシュサイズを設定するので、開いたローカルメッシュコントロールメニューの「面/エッジの選択」の「↑選択」をタップします。関係するボディを選択してもメッシュサイズが小さくできるので同じ効果は得られますが、ボディ全体のメッシュサイズが小さくなってしまいます。特に要素数などに問題がなけれあばボディを選択した方が手間がかからないので良いでしょう。少しでも要素数を減らしたい場合はメッシュサイズを小さくしたい箇所だけを選択する方が良いでしょう。

メッシュコントロール設定
ローカルメッシュコントロール設定

ビアの外側の面を選択したいので、基板を非表示にします。パターンのビアが見えるので外側の面をタップします。同じ条件の全部の面をタップして選択したら今回の場合は「長さ」を0.7 mmに設定します。選択と長さ設定が終わったら「OK」をクリックします。※今回の条件では0.7mm 以下に設定すればエラーは出ないようです。根拠が示せなくて申し訳ありません。

ローカルメッシュコントロール設定

ローカルメッシュコントロール設定
ローカルメッシュコントロール設定

ローカルメッシュコントロールの設定が完了した状態で、メッシュの作成をしてみます。先ほど発生した「自己交差しています」のエラーが解消されています。

ローカルメッシュコントロール設定
メッシュエラー解消後


以上で、メッシュ作成時の「自己交差しています。」エラーの解消方法は終了です。Fusion360の熱解析であまり細かいモデル化はしないかもしれませんが、私は結構局所的に素子のモデル化をして熱解析をすることもあるので参考まで記事を書きました。他に有効な設定があれば教えていただければ嬉しいです。



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