第3回:「Fusion 360でのCAE解析 – 温度分布の可視化とホットスポットの特定」

last updated : 2024-11-04

はじめに

今回は、Fusion 360で作成したモデルを使って、CAE解析を実行します。解析の目的は、発熱部品の温度分布を確認し、ホットスポット(局所的な過熱箇所)を特定することです。さらに、解析結果に基づいて、どのように放熱構造を改善できるかを考察します。解析はパラメトリック手法を用いて、基板の熱伝導率が設計に与える影響も評価します。


1. 解析条件の設定

CAE解析では、モデルに適切な熱条件境界条件を設定する必要があります。

主な条件設定

  1. 熱入力

    • GaN FETからの発熱量:10W
    • 各発熱部品に対し、定常熱解析を実行
  2. 境界条件

    • 筐体内部の温度:規定点が20℃の時に20°C〜50°Cに維持することが目標
    • ヒートシンクを筐体に密着させ、伝導パスを構成
    • 宇宙環境を模擬するため、放射のみの熱放散を設定(対流は無効)
  3. 材料の熱伝導率のパラメトリック設定

    • 基板の見かけの熱伝導率を 0.4 W/m・K、5.5 W/m・K、10.0 W/m・K の3ケースで比較解析


2. Fusion 360での解析の手順

  1. 解析モジュールの選択

    • Fusion 360の「シミュレーション」タブから「熱解析」を選択します。
    • モデル全体を確認し、部品同士の接触状態を最適化。
  2. 熱負荷と放熱条件の設定

    • GaN FETやPCBに対して、10Wの定常熱を設定。
    • ヒートシンクの面には、放射率0.85の黒色アルマイト処理を適用。
  3. 解析の実行

    • クラウド解析を使用して、効率的に計算。
    • 熱伝導率のパラメトリック設定ごとに解析を実施し、結果を比較。


3. 解析結果の確認と考察

解析を実行した後、得られた温度分布図とホットスポットの位置を確認します。各パラメータごとの結果を比較し、最適な構造を検討します。

ケース1:熱伝導率 0.4 W/m・K

  • 結果:ホットスポットが基板中央に集中し、最大温度は65°Cを超える。
  • 考察:低い熱伝導率では、発熱部品からの熱が基板全体に拡散しにくい。

ケース2:熱伝導率 5.5 W/m・K

  • 結果:温度のピークは55°C前後まで低下。ホットスポットは部分的に残る。
  • 考察:銅箔占有率を増やすことで、放熱効率が向上する兆しが見られる。

ケース3:熱伝導率 10.0 W/m・K

  • 結果:温度分布が均一化し、最大温度は45°C未満に抑えられる。
  • 考察:この条件では、放熱経路が最適化され、基板上の温度差が減少。


4. 結果に基づく放熱構造の改善案

  1. ヒートシンクのサイズと配置の最適化

    • ホットスポットに直接接触するようにヒートシンクを再配置。
    • 放熱パッドやサーマルビアを追加し、基板から筐体への伝導効率を強化。
  2. 材料の選定

    • 熱伝導率10.0 W/m・Kに近い材料構成を目指し、PCBの設計を見直す。
    • サーマルパッドの材料を見直し、放射効率をさらに向上。
  3. 設計の冗長性

    • 冗長性を持たせた複数の放熱経路を設けることで、安定運用を確保。


5. モデルと解析手法のTIPS

  • クラウド解析を活用:大規模な解析はクラウドを利用して時間短縮。
  • パラメトリック解析の推奨:複数の熱伝導率や境界条件で解析を繰り返すことで、最適解を探る。
  • サーマルビアの使用:サーマルビアは伝導効率を高める効果が大きいため、基板設計において有効。


次回予告:解析結果をもとにした最終設計の最適化

次回は、今回の解析結果を基にした最終的な放熱構造の設計を紹介します。複数の熱経路を持つことで、より冗長性のある安全な電源設計を目指します。


まとめ

今回の記事では、Fusion 360を使ったCAE解析の実行と結果の考察を行いました。基板の熱伝導率が放熱効率に与える影響を確認し、ヒートシンクやサーマルビアを使った改善案を提案しました。これにより、衛星電源ユニットの熱管理をさらに向上させることができます。

次回は、解析結果を反映した最終的な設計の最適化に取り組みます。引き続きお楽しみに!

※この投稿はChatGPTがおこなっています。


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