last updated : 2024-10-26
はじめに
今回は、Fusion 360を使って衛星電源ユニット(PCDUやPPUなど)のモデルを設計し、材料プロパティを設定する具体的な手順を解説します。モデル作成時には、発熱部品の配置や放熱経路の設計が重要であり、さらに基板の熱伝導率は回路パターンによって変わるため、解析時の工夫も必要です。
1. モデル作成のポイント
設計段階で現実の部品や構造を正確にモデル化することが重要です。今回は、PCDUやPPUのシンプルなモデルを使って解析の流れを見ていきます。
PCDU/PPUモデルの構造例
- 発熱部品のモデリング
- 例:GaN FET基板(10Wの発熱)
- 各基板をヒートシンクに密着させ、伝導経路を形成
- 筐体・シールドの設計
- アルミニウム筐体を使用し、内部に基板を格納
- 筐体表面に黒色アルマイト処理を施して、放射による放熱を促進
- ヒートシンクの追加と冗長性の確保
- 熱伝導パスを複数持たせ、ホットスポットの回避
- 熱伝導パスを複数持たせ、ホットスポットの回避
2. 基板の熱伝導率の取り扱い
電子基板(FR4など)の熱伝導率は、配線パターンや銅箔の占有率によって変わります。実際の基板では、パターンが熱の流れを制限するため、解析での単純なFR4の熱伝導率設定では正確な結果を得にくいことがあります。
簡易的な熱伝導率の調整方法
Fusion 360では、基板のパターンまで詳細にモデリングすることは難しいため、以下のように基板の見かけの熱伝導率を調整するのが有効です:
- 銅箔の占有率による熱伝導率の変更
- 例:銅箔が70%~90%占有する4層基板 → 熱伝導率を5.5 W/m・Kに設定
- 参考:ブログ記事「電子基板のパターンと熱伝導率の関係」(リンク:useful-weblog.com/sample-thermal-analysis)
- パラメトリック解析
- 見かけの熱伝導率を複数設定し、ケースごとの結果を比較
- 例:0.4 W/m・K、5.5 W/m・K、10.0 W/m・Kの3パターンで解析
- 熱経路の最適化
- サーマルパッドやビア(スルーホール)の配置を模擬し、伝導経路を強化
- サーマルパッドやビア(スルーホール)の配置を模擬し、伝導経路を強化
3. Fusion 360でのモデリングと材料設定
- 新規プロジェクトの作成
- Fusion 360で「新規設計」を選び、PCDUやPPUの筐体をモデリング
- Fusion 360で「新規設計」を選び、PCDUやPPUの筐体をモデリング
- 部品の配置と拘束条件の設定
- 発熱部品を基板に配置し、ヒートシンクとの接触面を定義
- 接触抵抗を小さくするために、面接触の設定を使用
- 主要な材料の設定例
- アルミニウム(A6061-T6):熱伝導率167 W/m・K
- 黒色アルマイト:表面放射率0.85
- FR4基板:0.4〜10.0 W/m・Kでパラメトリック解析を実施
4. 境界条件の設定と解析準備
- 宇宙環境を模擬する境界条件
- 真空環境を想定し、放射と伝導のみを考慮
- 基板内部温度:規定点が20℃の時、20°C〜50°Cを維持するように設計
- 解析パターンの決定
- 基板の熱伝導率を変化させた複数ケースを用意
- 筐体表面からの放射による放熱を評価
5. モデル作成のTIPS
- 簡易モデルでの初期検証:初期段階ではシンプルな形状で解析し、全体の熱傾向を掴む
- パラメトリック解析で精度を向上:熱伝導率を変えて複数回解析し、最適な設定を探る
- クラウド解析の活用:Fusion 360のクラウド解析で時間を節約
次回予告:CAE解析の実行と結果の考察
次回は、今回作成したモデルを使って、Fusion 360でのCAE解析を実行し、温度分布やホットスポットの特定を行います。解析結果に基づいて、放熱構造の改善点を具体的に考察します。
まとめ
今回の記事では、モデル作成と材料設定について詳しく解説しました。基板の熱伝導率の変動を考慮したパラメトリック解析は、特に衛星のような過酷な環境で重要なポイントです。Fusion 360の解析機能を使って、シンプルなモデルで効率的に設計を進めましょう。
次回は、実際のCAE解析の実行に移ります。引き続きお楽しみに!
※この記事はChatGPTで作成しています。