last updated : 2023-02-06
普段自動車を運転していると、右折や左折、車線変更の時のウインカー(方向指示器)の点滅のタイミングは人それぞれです。車線変更している最中に1回から3回点滅させるとか、ブレーキで減速してから右左折の直前にウインカーを点滅させる合図をよく見かけます。本来は安全のためにまわりの車に自分の車が次にどう動くかを知らせる目的でウインカーを点滅させると思うのですが、ウインカーを突然点滅させて急な車線変更などをされたら周りは中々予測が難しいです。みんなが「道路交通法」に定められたタイミングでウインカーを点滅させていれば、周りの車も次の行動を予測しやすいと思うのですが、実際は道路交通法に定められた使用方法を守られていない状況が多いのだと思います。もう一度、正しいウインカーの点滅のタイミングを確認してみます。
自動車のウインカーを点滅させるタイミング
道路交通法で定められたウインカーの使用方法は以下にようになっています。
・ 交差点などで右左折しようとするときは、右左折する地点の30メートル手前からウィンカーを点滅させ、右左折が完了するまでウィンカーを点滅させます。
・ 転回する地点の30メートル手前からウィンカーを点滅させ、転回が完了するまでウィンカーを点滅させます。
・ 進路変更の3秒前にウインカーを点滅させ、進路変更が完了するまでウインカーを点滅させます。
ウィンカーを点滅するタイミングについて、そのキーワードとなるのは「3」という数字です。
「右左折の30m手前」「進路変更する3秒前」が基本だからです。そして、右左折、進路変更が完了するまでウインカーの点滅は継続しなければいけません。
だからと言って早めにウインカーを点滅させればよいかというとそうでもないようです。不必要な場所で合図を出したということで「合図制限違反」という罰則の規定もあります。必要な場所でウィンカーを出さなかった場合には「合図不履行違反」必要な場所以外でウィンカーを出した場合には「合図制限違反」という規定です。いずれの場合も現行犯で取り締まられたことを聞いたことはありませんが、罰則を受けないためにウィンカーを出すのではありませんし、ウィンカーを出すことが目的でもありません。ウィンカーを使って意思表示をすることで、自分と周囲の車が安全に走行できるようにするのが目的です。
具体的なウインカーの操作
交差点での右左折
交差点手前で意外に多くおこなわれるのが、ブレーキを踏んで減速してからウィンカーを出す行為。これでは後続車は、ブレーキを察知した際に前走車が止まるのか曲がるのか判断できません。ウィンカーを出してからのブレーキ操作が正しい順序です。
交差点手前の右左折の手順は、あらかじめ曲がる方向へ車を寄せて徐行しながら曲がると教習所などで教わるはずです。
この車を寄せる行動も進路変更に含まれます。交差点の30m手前で進路変更は終わらせておく必要がありますから、進路変更の約3秒前にウインカーを点滅させてそのまま交差点の30m手前ではウインカーは点滅させなければいけませんから、交差点手前では進路変更の約3秒+30m分のウィンカーを出すことになります。距離にすれば、交差点の手前60~70mほどの距離が安全なウィンカー点滅開始のタイミングになります。
進路変更
進路変更(車線変更)をする際は、まず進路変更ができるかどうか周囲の安全を確認し、可能だと判断できた場合にウィンカーを出します。ウィンカーを出して3秒間の間に、再度周りの安全確認をします。このときの安全確認の時間がウィンカーのタイミングとなります。その間に安全に車線変更をできるかできないかの判断をしなければいけません。
必要とあらば、5秒でも6秒でもウィンカーを出し続ける必要があります。車線変更が不可能と判断すれば、ただちにウィンカーを止め、進路変更を取りやめなければなりません。特に車線変更時には、周囲の車に車がいる場合は、ウィンカーを出すと減速や加速といった何かしらのリアクションを返してくれます。それらを確認するのも必要な安全確認です。
環状交差点
信号器のない円形交差点で、右回りに回る環状道路に侵入し、任意の方向へ向けて脱出する交差点を環状交差点(ラウンドアバウト)と言います。高い安全性と交通性から海外では一般的となっている形状の交差点で、日本でも今後増えてくるものと予想されます。この環状交差点への侵入時はウィンカーの合図は不要ですが、環状交差点を脱出するときにはウィンカーを点滅させなければなりません。
停車中
幅5.5m以上の道路に駐停車している夜間には非常点滅表示灯(ハザード)または尾灯(テールランプ)の点灯義務があります。停車中はウィンカーを出す義務はありません。逆に停駐車中に左ウィンカーを出していると合図制限違反になってしまいます。
方向指示器(ウインカー)のまとめ
すべてのドライバーがウィンカーのタイミングによる意味を共有してこそウィンカーはその効果を発揮するのですが、地域によってウィンカーの使い方が微妙に違うローカルルールが存在するのが現実です。また、最近の車に装備されているワンタッチウインカーは、ウインカーレバーを操作すると ウインカーが3~5回点滅します。しかし、道交法を守れば、右左折で10回以上、進路変更でも7~10回はウインカーを点滅することになりますから、厳密には装備としては不備があります。何度も言いますが、ルールを守るのが目的ではなく、ウインカーの役割は周りの車が安全に運転できるようにするための補助になります。これだけ多くの車が走っているのに、安全に走行できているのは交通ルールの存在もさることながら、それぞれのドライバーが他車との安全を意識して運転しているからだと思います。その個人個人の注意力だけに任せるのではなく、現実的な正しいウィンカー操作により他車との意思疎通ができれば交通事故はもっと減らせるかもしれません。ルールを守らない車を非難するのではなく、まず自分から安全を心掛けた運転を実践していきたいと思います。
関連する道路交通法
道路交通法第53条(合図)
1 車両(自転車以外の軽車両を除く。次項及び第四項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。
道路交通法第53条
2 車両の運転者は、環状交差点においては、前項の規定にかかわらず、当該環状交差点を出るとき、又は当該環状交差点において徐行し、停止し、若しくは後退するときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。
3 前二項の合図を行う時期及び合図の方法について必要な事項は、政令で定める。
4 車両の運転者は、第一項又は第二項に規定する行為を終わつたときは、当該合図をやめなければならないものとし、また、これらの規定に規定する合図に係る行為をしないのにかかわらず、当該合図をしてはならない。
(罰則 第一項、第二項及び第四項については第百二十条第一項第八号、同条第二項)
道路交通法第34条(右折又は左折)
1 車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。
道路交通法第34条
2 自動車、原動機付自転車又はトロリーバスは、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。
3 軽車両は、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。
4 自動車、原動機付自転車又はトロリーバスは、一方通行となつている道路において右折するときは、第2項の規定にかかわらず、あらかじめその前からできる限り道路の右側端に寄り、かつ、交差点の中心の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。
5 原動機付自転車は、第2項及び前項の規定にかかわらず、道路標識等により交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につき交差点の側端に沿つて通行すべきことが指定されている道路及び道路の左側部分(一方通行となつている道路にあつては、道路)に車両通行帯が3以上設けられているその他の道路(以下この項において「多通行帯道路」という。)において右折するとき(交通整理の行われている交差点において右折する場合に限る。)は、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。ただし、多通行帯道路において、交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につきあらかじめ道路の中央又は右側端に寄るべきことが道路標識等により指定されているときは、この限りでない。
6 左折又は右折しようとする車両が、前各項の規定により、それぞれ道路の左側端、中央又は右側端に寄ろうとして手又は方向指示器による合図をした場合においては、その後方にある車両は、その速度又は方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした車両の進路の変更を妨げてはならない。
道路交通施行令第21条(合図の時期及び方法)
(合図の時期及び方法)第二十一条 法第五十三条第一項に規定する合図を行う時期及び合図の方法は、次の表に掲げるとおりとする。
合図を行う場合 | 合図を行う時期 | 合図の方法 |
左折するとき。 | その行為をしようとする地点(交差点においてその行為をする場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から三十メートル手前の地点に達したとき。 | 左腕を車体の左側の外に出して水平に伸ばし、若しくは右腕を車体の右側の外に出して肘を垂直に上に曲げること、又は左側の方向指示器を操作すること。 |
同一方向に進行しながら進路を左方に変えるとき。 | その行為をしようとする時の三秒前のとき。 | |
右折し、又は転回するとき。 | その行為をしようとする地点(交差点において右折する場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から三十メートル手前の地点に達したとき。 | 右腕を車体の右側の外に出して水平に伸ばし、若しくは左腕を車体の左側の外に出して肘を垂直に上に曲げること、又は右側の方向指示器を操作すること。 |
同一方向に進行しながら進路を右方に変えるとき。 | その行為をしようとする時の三秒前のとき。 | |
徐行し、又は停止するとき。 | その行為をしようとするとき。 | 腕を車体の外に出して斜め下に伸ばすこと、又は車両の保安基準に関する規定若しくはトロリーバスの保安基準に関する規定により設けられる制動灯をつけること。 |
後退するとき。 | その行為をしようとするとき。 | 腕を車体の外に出して斜め下に伸ばし、かつ、手のひらを後ろに向けてその腕を前後に動かすこと、又は車両の保安基準に関する規定に定める後退灯を備える自動車にあつてはその後退灯を、トロリーバスにあつてはトロリーバスの保安基準に関する規定により設けられる後退灯を、それぞれつけること。 |
2 法第五十三条第二項に規定する合図を行う時期及び合図の方法は、次の表に掲げるとおりとする。
合図を行う場合 | 合図を行う時期 | 合図の方法 |
環状交差点を出るとき。 | その行為をしようとする地点の直前の出口の側方を通過したとき(環状交差点に入つた直後の出口を出る場合にあつては、当該環状交差点に入つたとき)。 | 左腕を車体の左側の外に出して水平に伸ばし、若しくは右腕を車体の右側の外に出して肘を垂直に上に曲げること、又は左側の方向指示器を操作すること。 |
環状交差点において徐行し、又は停止するとき。 | その行為をしようとするとき。 | 腕を車体の外に出して斜め下に伸ばすこと、又は車両の保安基準に関する規定若しくはトロリーバスの保安基準に関する規定により設けられる制動灯をつけること。 |
環状交差点において後退するとき。 | その行為をしようとするとき。 | 腕を車体の外に出して斜め下に伸ばし、かつ、手のひらを後ろに向けてその腕を前後に動かすこと、又は車両の保安基準に関する規定に定める後退灯を備える自動車にあつてはその後退灯を、トロリーバスにあつてはトロリーバスの保安基準に関する規定により設けられる後退灯を、それぞれつけること。 |